知的障がいの事例

モデルケース 山田太郎さん・山田花子さんの場合

山田太郎さん(35歳)は、幼い頃に知的障がいの診断を受け、母親の花子さん(70歳)と二人暮らしです。特別支援学校を卒業したあと、就労施設に通っています。わかりやすい指示をもらえば軽作業などはできますが、複雑な作業や自分から自発的に行動することは難しく、ずっと花子さんが太郎さんの生活を支えてきました。しかし、花子さんが高齢となり、家事が大きな負担になってきました。花子さんは自分の老後と自分が亡くなった後の太郎さんの生活が不安になり、最寄りの社会福祉協議会に相談に行きました。

社会福祉協議会は取り急ぎ、花子さんの負担を減らして現在の生活を維持できるよう、介護ヘルパーを派遣してもらうよう手配してくれました。
また、花子さんと太郎さんの将来の不安については、「成年後見制度」を利用すれば二人それぞれをサポートしてもらえることを教えてもらいました。特に、太郎さんはまだ若く、これからの長い人生を継続して支援が必要なことから、担当者を交代するなどして支援を続けて受けられる「法人後見」を受任するライフサポート東京を紹介してもらいました。

らいさぽの対応

花子さんはライフサポート東京と面談し、今後の生活支援の相談をしました。
その結果、花子さん自身は、将来の要介護生活や死後の手続きに備えて「任意後見契約」と「生前・死後事務委任契約」を、ライフサポート東京と結ぶことにしました。今はまだ、介護サービスを受ければ在宅生活が可能なので、ライフサポート東京の事務担当者である頼佐保太さんに定期的に自宅を訪問して生活を見守ってもらいます。
太郎さんへの支援としては、花子さんが元気なうちに太郎さんに「法定後見」を利用し、花子さんも積極的に関わりながら、支援してくれる「後見人等」と信頼関係を育んでもらうことにしました。

2ヶ月後、ライフサポート東京を「保佐人」とする審判がありました。
改めて頼佐保太さんと花子さんは今後の生活について話し合いをしました。花子さんは、介護ヘルパーの支援があるとはいえ、太郎さんの世話を続けるのは難しいと感じていました。そこで、太郎さんには知的障がい者用のグループホームへの入所を検討しました。最初は「お母さんと一緒がいい」と抵抗を示した太郎さんでしたが、最終的には、花子さんの体調を理解して入所に同意しました。

頼佐保太さんは、早速、グループホームへの入所手続きをとり、太郎さんはホームへ引っ越しました。
太郎さんは、急な環境の変化に戸惑っていましたが、生活リズムが崩れないように、日中は慣れた就労施設へ通うために外出支援サービスを手配してもらい、新しい道を覚えるよう努力しました。当初は夕食を花子さんと外食したり、週末には自宅へ外泊したりしながら、少しずつホームの生活に慣れていきました。

太郎さんの入所から半年。頼佐保太さんは、花子さんと太郎さんの双方のもとへ定期的に訪問してお話をうかがい、「困ったことはありませんか。やりたいことがあれば実現のお手伝いをします」と日々の生活をサポートしています。

その後

太郎さんは頼佐保太さんの名前も憶え、会いに行くと「いらっしゃい」と笑顔で迎えてくれるようになりました。ホームの生活にも慣れ、自宅への外泊は月に1度のペースに落ち着いてきました。月に1度なら、花子さんも太郎さんのために食事を作って待つのが大きな楽しみになっています。花子さんは、グループホームで生活を始めてから太郎さんのできることが増えて一回り成長したことを感じ、これなら将来自分が先に亡くなっても、頼佐保太さんをはじめ様々な支援者のサポートを受け、太郎さんが生活していけるだろうとホッとしています。花子さん自身の生活も頼佐保太さんによる見守りと、介護ヘルパーの支援を受けて安定し、穏やかな気持ちで日々を送れるようになりました。

この事例は複数の事例を組み合わせるなどして構成したものであり、実際の事例とは名称、年齢、地名等は異なります。

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