精神障がいの事例

モデルケース 小林和夫さんの場合

小林和夫さん(45歳)は、会社員であった30歳で統合失調症を発症し、精神科に入退院を繰り返してきました。会社は退職せざるを得ず、未婚で子どももいません。母と二人で暮らしていましたが、1年前にその母も亡くなり、和夫さんは母から相続した自宅で独り暮らしになりました。

家事が不得意な和夫さんは、広い自宅を維持管理できずゴミ屋敷化してしまい、近所から区役所に相談が入りました。
区のソーシャルワーカーが面談すると、和夫さんは、一人暮らしになってから通院と服薬が滞っており、また精神的に不安定な状況が見られたため、精神科へ保護入院することになりました。

和夫さんに対して、ゴミ屋敷化した自宅の処分などの必要もあり、成年後見制度の利用を勧められました。和夫さん自身も「一人では、身の回りのことやいろいろな手続きが難しい」と感じ、区に紹介されたライフサポート東京に、今後の支援をお願いすることにしました。

らいさぽの対応

ライフサポート東京を「保佐人」に選任する審判がおり、保佐事務担当者となった頼佐保太さんは、医師やソーシャルワーカーらと会議をもち、和夫さんの希望を聞きました。和夫さんの希望は、「孤独感を感じる自宅に戻るのはイヤだが、早く退院したい。自宅を売却し、住んでいた自宅の近くでアパートを借りて独り暮らしをしてみたい」とのことでした。
頼佐保太さんは、希望にそって「居住用不動産処分の許可申立」を家庭裁判所に行い、許可を得て売却しました。並行して近隣にアパートを借りて、配食サービスや訪問看護、ホームヘルパーを契約し、日々の生活援助を確保しました。
和夫さんは、退院後も通院と訪問看護による服薬管理で症状は落ち着いており、援助を受けながらアパート生活を順調に送ることができました。また、生活支援センターや就労支援施設へも通うようになりました。レクリエーションや軽作業を通じて、他の利用者とコミュニケーションも取るようになり、最近は支援センター以外のイベントに出かけることもあります。

和夫さんは先日、街中でキャッチセールスに遭い、無料体験と勘違いしてスポーツクラブの年間契約をしてしまいました。後日、高額な会費の請求書が届いて驚いた和夫さんは、頼佐保太さんに「体験だけで入会するつもりはなかった。どうしよう」と相談しました。頼佐保太さんは、クラブに対し和夫さんの意向を説明し「契約の取り消し」を通知し、クラブも取消しを了承しました。

その後

和夫さんは、困ったことが起きたり、やりたいことができると、頼佐保太さんに相談できることで、安心して様々なことに挑戦できるようになりました。先日も和夫さんはスマートフォンが欲しくなり、頼佐保太さんに相談しました。頼佐保太さんは、販売店まで和夫さんに同行しましたが、契約手続きは和夫さんがひとりで行うのを、背後で見守りました。和夫さんは、無事に一人でスマートフォンを契約することができ、メールの使い方も覚えました。頼佐保太さんに、今日楽しかったことをメールするのが日課です。

この事例は複数の事例を組み合わせるなどして構成したものであり、実際の事例とは名称、年齢、地名等は異なります。

ご相談・お問い合わせはコチラです