遺言書作成の事例
モデルケース 高橋洋子さんの場合
高橋洋子さん(65歳)は15年前に夫を亡くし、都内の一戸建てで一人暮らしです。洋子さんの子どもは二人で、長男は夫の工場を継ぎ、長女は横浜へ嫁ぎそれぞれ家庭を持って生活しています。
夫を亡くした時、相続財産に差ができてしまい、遺産分割協議の合意に時間がかかったうえ、兄妹の間に溝ができたような気がします。洋子さんは自分が亡くなった後、さらに兄妹の溝が深まるのではと心配していました。
洋子さんが友人に相談したところ、「うちは夫の遺言書があったからモメなかったわよ。洋子さんも遺言を作ったら?私も遺言書を作ってあるの。」と勧められました。洋子さんが「遺言なんてどう書くのかわからないわ」と言うと、友人の遺言書作成を支援してくれたライフサポート東京を紹介してくれました。
らいさぽの対応
ライフサポート東京へ相談の電話をすると、事務局長と担当者となる頼さほ子さんが自宅へ訪問してくれました。遺言の種類や作成方法について丁寧に説明してくれ、洋子さんは「公正証書遺言」を作成することにしました。「公証役場」で手続きするため作成に費用はかかりますが、法律のプロである「公証人」が確実に有効な証明力のある書面を作成してくれるので、すぐに相続手続きに利用できますし、作成した遺言は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんされる危険がありません。対して「自筆証書遺言」は費用はかかりませんが、決まった書き方に従わないと無効になる危険があり、保管にも不安がありますし、亡くなった後に相続人が家庭裁判所へ「検認」という手続きに行かなくてはなりません。「検認」が子どもたちに負担になるかもしれないと感じました。
頼さほ子さんは、洋子さんの元へ何回か訪問し、洋子さんの財産状況に加えて、お子さんへの想いや希望を詳しく聞き取りしました。最初は、どんな遺言を書いたらよいのかと不安だった洋子さんですが、何度も頼さほ子さんと話すうちに、次第に状況が整理され、気持ちが定まってきました。
洋子さんは、介護すると言ってくれている長女に自宅を、工場を継いでいる長男に工場の株式をそれぞれ相続させ、評価額の差を考えて、預貯金を長男に少し多めに配分するように遺言することにしました。また、子どもたちが相続手続きに時間と手間を取られるのも負担だと思い、代わりに遺言を確実に実行してもらえるよう「遺言執行者」にライフサポート東京を指定しました。
そして、遺言には、財産についてだけでなく「附言事項」で子どもたちへ、財産をこのように分配した理由と、二人きりの兄妹なのだから仲良くしてほしいというメッセージを伝えることにしました。
頼さほ子さんは、洋子さんの希望をくみ取った文案を作成し、遺言作成に必要な戸籍謄本等の証書類の収集や、公証役場との日程の調整等をしました。
作成日当日、洋子さんは頼さほ子さんと一緒に公証役場を訪問し、公証役場の手配した証人2名の立ち合いのもと、公正証書遺言を作成しました。
その後
洋子さんは、今回遺言を作成したことで、気持ちの整理がついて心配事がひとつ減り、今の生活をより前向きに楽しめるようになりました。一人で心配して思い悩むより、専門家に相談することでより良い解決方法に近づくことができると感じました。
この事例は複数の事例を組み合わせるなどして構成したものであり、実際の事例とは名称、年齢、地名等は異なります。
