精神障がいの事例

モデルケース K男さんの場合

この事例は複数の事例を組み合わせるなどして構成したものであり、実際の事例とは名称、年齢、地名等は異なります。

K男さん(45歳)は25歳の時に統合失調症を発症、勤めていた会社を退職せざるを得ず、その後は精神科に入退院を繰り返してきました。未婚で子供もいません。母親と二人で暮らしていましたが、1年前にその母親が亡くなり、相続した自宅でK男さんは一人暮らしとなりました。

家事が不得手なK男さんは、広い自宅を維持管理できずゴミ屋敷化してしまい、近所から区役所に相談が入りました。
区のソーシャルワーカーが面談すると、K男さんは、一人暮らしになってから通院と服薬が滞っており、また精神的に不安定な状況が見られたため、精神科へ保護入院することになりました。

K男さんは入院中、成年後見制度の利用を勧められました。K男さん自身、「一人では、身の回りのことやいろいろな手続きが難しい」と感じ、区に紹介されたライフサポート東京に、今後の支援をお願いすることにしました。

らいさぽの対応

ライフサポート東京を「保佐人」に選任する審判がおり、保佐事務担当者となった頼佐保太さんは、医師やソーシャルワーカーらとともに会議をもち、K男さんの希望を聞きました。K男さんは、「孤独感を感じる自宅に戻るのはイヤだが、早く退院したい。自宅は売却して、その近所にアパートを借りて暮らしたい」とのことでした。

頼佐保太さんは、K男さんの希望にそって「居住用不動産処分の許可申立て」を家庭裁判所に行い、許可がおりて自宅を売却しました。並行して近隣にアパートを借り、配食サービスや訪問看護、ホームヘルパーを契約し、K男さんの日々の生活援助を確保しました。
K男さんは、退院後も通院と訪問看護による服薬管理で症状は落ち着いており、援助を受けながら順調にアパート生活を送ることができています。また、生活支援センターや就労支援施設へも通うようになり、レクリエーションや軽作業を通じて、他の利用者とコミュニケーションを取るようになりました。

ある日K男さんは駅前で、キャッチセールスを断り切れずに、高額なエステを契約させられる被害に遭いました。困り果てたK男さんは頼佐保太さんに相談。頼佐保太さんは、そのエステサロンに対しK男さんの意向を説明し「契約の取り消し」を通知。サロンも取り消しを了承しました。

その後

K男さんは、頼佐保太さんをはじめ周囲の関係者に困ったことなどを相談し、何とか一人暮らしを続けています。頼佐保太さんは、訪問看護やホームヘルパーと連絡をとることで、K男さんが精神的に動揺が見られる時を早めに察知し、不安定な状況が改善されるよう、支援を続けています。

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